Gopherを英和辞典で引いてみると、たいてい次の言葉が乗っている:

      ジネズミの一種;チンピラら;金庫(破り);まぬけ

となっているが、ジネズミ以外はしかし、吾が輩にとっては初耳(と言うよりは“初見”かな。でもこの言葉を初耳につられて“はつみ”って読んだ人は何人いるかな。正しくは“しょけん”だね。)で、英語の辞典で調べても載っていないところから、まず使わない隠語で覚える必要はない。

でもここで紹介したい使い方は便利でよく使うので、覚えるときっと役に立つ。

芸能界にはエーディー(A.D.)、すなわちアシスタント・ディレクターという仕事がある。アメリカではアシスタント・ディレクターはディレクターと違う仕事を受け持っているので、それなりに大変で責任も重大だ。日本の場合は、もちろん例外もあるが、ほとんどのA.D.は「パシリ」的な存在だ。芸能界に入るときは、業界や仕事の右も左も分からない人ばかりだから、本当に“使える”人材かどうかが試される。ちゃんと育つ人は、ディレクターなどの職に就くこともできるが、そうでない人は挫折したり諦めたりして業界を去る。タレントやグラビア・モデルの次に、芸能界で一番入れ替わりが激しいのは、このA.D.ではないかと思う。

さて、この「パシリ」のことを英語でgopherというけれど、これは何もジネズミなどと直接関係がない。これは実は、go for ~(~を取りに行く)の実際の発音の go ferが似ているところから、1967年あたりからこう呼ぶようになった。石部金吉や小言幸兵衛(こごとこうべえ)などのような擬人名も、英語に結構あるが、これはその逆をおもしろく言ったものだと思う。Gopherのほかにgoferと書くこともあるが、やはりgopherのほうが気に入っている。

それでは、例文を見てみよう。

A: Sometimes I feel like I’m just a gopher or something.
(ときどき、おれって、パシリだけじゃないかと思う。)
B: It just takes time till you “learn the ropes.” (=仕事を覚える。コツが掴む)
(まぁ、仕事を覚えるまでは時間が掛かるさ。)

A: Aah, so you’re an assistant director.
(そうか。アシスタント・ディレクターなんだ。)
B: Yeah, but sometimes I think that’s just another name for a “gopher.”
(そうだけど、時々パシリをただ言い換えているだけじゃないかと思う。)

A: What do you do?
(仕事は何を?)
B: I’m a gopher.
(おれはパシリだ。)
A: What do you mean?
(どういうこと?)
B: You know. Go for this, go for that.
(分かるだろう。あれを取りに行ったり、これを取りに行ったりして...)

お茶組みも一種のパシリかもしれないが、お茶を入れてくれると、本当にありがたいもんだね。

コショー

Copyright Rex C.