筆者: Torsten Rox

編集者:やなさ株式会社  

作成日:20081120

Webサイト:http://www.irox.de

私、Torsten Roxは、CATテクノロジーと翻訳についての記事を定期的に発行している、テクノロジーとビジネスの分野を得意とするドイツ人のメディアデザイナ兼翻訳者です。
 

1年ほど前、どちらかといえばあまり期待していなかった新しいツールと出会いました。それは、MemoQというツールです。MemoQの機能やパフォーマンスは、市場で幅広く使用されているTradosDéjàVuなどと近いと言えます。
 

ユーザーインターフェイスは、 Déjà VuSDLXと非常に似ていますが、異なるのは、MemoQは独自の概念を持つ単体のソフトウェアであり、そして非常に直感的なウィザードを使用したワークフローで作業を進めることができるという点でしょう。ハンガリーにある開発元の主要メンバーであるBalázs KisIstván LengyelGabór L. Ugrayは、MemoQには更にサーバーベースの環境もあるという点を指摘しています。この機能を利用すれば、オンラインの翻訳メモリや用語ベースを共有して翻訳作業を行うことができ、例えば翻訳会社などにとって魅力的な選択となるはずです。この記事では、フリーランスバージョンについて詳しく見ていくことにしましょう。

 

MemoQの基本機能について


  • サポートしているファイル形式:Office docpptxls)、InDesignINX)、Framemaker MIF)、 HTMLXMLXLIFF、テキストベース のファイル、 あらかじめセグメント分けされているttxファイルとバイリンガルRTFファイルなど。
  • 整合:ソース文書とターゲット文書を整合して、翻訳メモリ(TM)を作成。
  • 包括的な用語ベースと翻訳メモリ管理。一度に複数の用語ベースや翻訳メモリを使用可能。CSVおよびTMXファイルのインポート。用語ベース機能は、バージョン3で更に改良され、いくつかの新機能(大文字小文字の区別、接頭辞の一致、定義、禁止用語としてマークなど)が追加されました。
  • MemoQとTrados式の統計機能(この2つの違いはヘルプに記載されています)。
  • WindowsIntel搭載のMacおよび全種類の仮想マシンで動作(Macintoshについてはこちらではテストしていませんが、ユーザーの方々からの報告により明白です。)
  •  内蔵の「プレビュー」ペイン。表や複雑なテキストもプレビューを見ながら翻訳可能。
  • 入力ミスを回避する「自動修正」機能。日付や単位を変換する「 自動翻訳」機能

MemoQと他のツールの違いについて

 

  • MemoQの開発者は、翻訳者の方々との意見交換の場を重要視しています。そのことは、以下のことからお判りいただけるはずです。
  • Yahooメーリングリスト(英語)。開発者も積極的に参加しており、投稿された問題にも迅速に対応。
  •  開発の速度と品質も、非常に印象的200711月、バージョン2.2で重要な新機能が追加され、20083月にはバージョン2.3が、20089月には3.0、そして200811月には3.2がリリースされています。


注目すべき点について

 

  • さまざまなオプションと設定(フィルタ機能、セグメント分け、自動翻訳対象など)
  • カスタマイズ可能なたくさんのショートカット
  • エクスポート先および作業ディレクトリを個々に設定可能
  • 非常に直感的なユーザーインターフェイス。プロジェクト作成時にはウィザードでサポート
  • 進捗状況をパーセントで表示(主にセグメントベースで算出される)
  • 一度に複数の文書を開くことが可能(タブで表示)
  • セミWYSIWYGユーザーインターフェイス(つまり、太字、斜体、下線文字はそのまま翻訳グリッドにインポートされ、この種の書式の設定も可能)
  •  翻訳単位の並べ替えとフィルタリング(ソースまたはターゲットをアルファベット順で、長さで、またはマッチ率で並べ替え)。この機能は大変素晴らしく、便利です。
  •  プロジェクト内で複数の文書の翻訳単位を表示、翻訳、並べ替えおよびフィルタリングするための「ビュー」
  • 他のツールと比べて、速い処理速度
  •  文脈依存の翻訳メモリ。セグメントが同一の場合の通常の100%マッチの他に、前後1つのセグメントも同一の場合には101%マッチとして表示。これは、品質維持に非常に役立つ機能です。
  • 他ツールと比較して非常に公正な価格。しかも、品質評価(QA)ツールも搭載。
  • 全機能を45日間(他のツールより長期間)試用できる体験版45日経過後は、1つの翻訳メモリと用語ベースのみを使用して、小さな翻訳ジョブを行うことができるフリーウェア版として使用可能。

 

不足している点について

 

これは、現在ユーザーの方がどのツールを使用しているかに依存するでしょう。


  • 個人的には、より複雑な解決策を提供するプロジェクト管理機能(たとえば、カレンダーやノートパッド機能など)があると良い。
  • 作業が最も難しいのは、非常に複雑な書式(太字、斜体や下線以外の)が含まれているテキストが使用されている場合。{1}というタグが多くなります。いずれにせよ、MemoQMIFINXファイルを処理できます。
  • 自動アップデート(通知は非常に迅速ですが・・)
  • 旧バージョンのOfficeで作業する場合、スペルチェックが非常に遅い。Office 200から2007に切り替えた後、この問題は解決しました。ただし、付属しているオープンソースのスペルチェッカーHunspellも使用できます。
  • StarOffice/OpenOfficeMicrosoft Office 2007 形式に対するサポート(次善策は上記wikiで記載されています)
  • 用語ベースに新規エントリを追加すると、大文字小文字の区別が自動的に「甘い」に設定される。やっかいなので早い改善を希望しています。

 

試用と導入を推奨する対象

 

  • 他のツールで高価なアップデート料金に頭を悩まされている方
  • 速く、効果的なサポートを希望する方
  • 自由度が高く、動作も速い、直感的な翻訳支援ツールを必要としている方(他のツールからの乗り換えや補足ツールとして)