二度と忘れないメモリ

筆者:Reed D. James

発行日 2007年3月24日

編集者:やなさ株式会社 

推奨度:☆☆☆☆☆

Proz.comでの英文プロフィール : http://www.proz.com/doc/1198  

プロフィール:

Reed氏は、チリのサンチャゴを拠点として活躍しているスペイン語→英語の翻訳者です。専門は、法律とマーケティングです。翻訳に従事して、10年以上になります。  
 

私は、約5年間、色々なCAT(翻訳支援)ツールを試してきました。翻訳支援ツールを2つのグループに区分しました。1つはMicrosoft Word ®アドインとして動作するもの、もう1つはスタンドアロンで動作するものです。翻訳時に毎回Wordを使用しなければならないのが嫌で、スタンドアロンのアプリケーションに目を向けるようになりました。 
 
中にはあまり使い勝手の良くない翻訳支援ツールもありましたが、テストしたすべての翻訳支援ツールの利用法が判るようになりました。操作方法の簡単さから言って、MemoQは良い翻訳支援ツールのうちの1つだということは間違いありません。 
 
ハンガリーで開発されたMemoQには、2通りの読み方があります。ハンガリー風に「メモック」または、英語風に「メモキュー」のどちらでも構いません。製品名の呼び方の選択は、このアプリケーションにおけるユーザーフレンドリーな設定のほんの1例です。 
 
MemoQの操作方法を理解するのにどのくらい時間を要するのか、そして翻訳作業が完了し、ファイルをエクスポートした後の「後処理(編集)作業」にどのくらいかかるのかも判らなかったため、自分の翻訳プロジェクトを、MemoQを使用して作業することに最初は少し用心していました。 


非常にうれしいことに、ユーザーフレンドリーな[新規プロジェクトウィザード]のおかげで、ユーザーマニュアルなどを読む必要が全くありませんでした。翻訳メモリと用語ベースをすぐに作成でき、ソース文書のインポートも簡単でした。世界中の翻訳業界でも良く知られているSDLXを使用した際には、そのシステムを理解するのに試行錯誤し、誤りを繰り返したという経験がありますが、それとは異なるものでした。 
 
MemoQで、実際に翻訳する文書を開いてみると、Déjà Vuと似ているという印象を受けました。ソーステキスト用に1列、ターゲットテキスト用に1列というレイアウト、そしてコードも含まれているという点が似ています。 
 
コード(MemoQでは「タグ」と呼ばれている)を使用する翻訳支援ツールを使用して翻訳した経験がある翻訳者の方は、そのコードによって訳文を瞬時にエキスポートし、クライアントに渡すことができるか、またはソースと同じ書式になっていない場合には、それを調整するために何時間も費やさなければならないことがお判りになるはずです。 
 
MemoQの役員でもあり、設立者の1人でもあるIstván Lengyel氏によると、そもそもMicrosoft Office文書が作成されている方法を考えても、タグは必要であるとのことです。MemoQのタグの数は最小限に抑えられていることは明言できます。おそらくDéjà Vuを使用した翻訳と比較すると1/5ほどでしょう。その理由は、下線、斜体や太字などの書式コードは、ソースからターゲットテキストに自動的に渡されるものではなく、翻訳者が手動で行う必要があるためだそうです。Lengyelによると、この背景にある理由は、ソースとターゲットの書式を完全に一致させることは不可能であるということです。たとえば、英語では「the boy’s dog」のように所有格が使用されますが、スペイン語では「el perro del niño」となります。 
 
MemoQを何度か使用しているうちに、空のセグメント数を確認したり、後どのくらい作業が残っているかを確認するために、何度も統計メニューで計算していました。  
 
そのうち、翻訳グリッドウインドウ(翻訳しているウィンドウ)の下部分を見るようになりました。翻訳済みのパーセンテージや編集済み、空のセグメント数が下部分に表示されていたのです。SDLXのワードカウント方法と比較しても、MemoQのパーセンテージ表示方法では、進捗を数値で確認できるため、非常に満足しています。 
 
用語集を1つの場所に保管しておくことに頭を悩ませている方は、MemoQの用語データベースが気に入るでしょう。MemoQの開発者は、その用語ベースは専門的なスタンドアロンアプリケーションというわけではないと言っていますが、私は用語集のインポートとエクスポートは非常に簡単だと思います。また、細かいことですが、用語ベースに既にあるソース用語は水色で強調表示される点が特に気に入っています。つまり、データベースに既存の用語が直ぐにわかり、挿入する用語をあちこち探し回らなくても済みます。 
 
Lengyel氏は、MemoQ Serverの使用方法についても丁寧に教えてくれました。サーバーを購入するのに、最高で30,000ポンド(約430万円 )も支払っていると会社が数多くあるそうです。それほど多額のお金を投じるのであれば、私がフリーランス翻訳者としてどんなに成功したとしても、もっと他の事にお金を使いたいというのが率直な気持ちです。 
 
喜ばしいことに、MemoQのサーバーは手頃な価格で、しかもインターネットに接続しているPCからも起動できます。追加の装置を購入する必要はなく、操作方法も極めて簡単です。MemoQを使用して他の翻訳者とプロジェクトを共有でき、プロジェクトに関連するさまざまなこと(翻訳メモリと用語ベースの公開と共有、ディスカッションフォーラムの作成とリアルタイムでのチャットなど)を実行できます。プロジェクトの共有やグループでの作業についてはおおよそ想像がつくと思いますが、さらにすごいのは、プロジェクトを分割して複数の翻訳者にそれぞれを割り当てることができるのです。これは画期的です。 
 
まだ製品が完結されていないことも、MemoQの大きな利点の1つです。つまり、翻訳者が必要なすべてを含む製品でありながら、改良が続けられています。実際に、バージョン2.1は、2007年4月にリリースされています。機能の一部: 
 
・翻訳グリッドでのセグメントロック機能:翻訳およびレビュー済みのセグメントを誤って編集してしまうことを回避できます。 
・文脈依存の翻訳メモリ:101%マッチにより、文脈ベースでの一致を識別でき、レビューにかかる時間の削減に繋がります。 
・全体の検索/置換機能:プロジェクト内のすべての文書内で用語を検索および置換できます。 
・用語ベースの手動検索機能:MemoQは、語形変化された用語は検索しませんが、手動で検索できます。 
 
今まで翻訳支援ツールを使用したことがないユーザーにとって、MemoQは良心的な価格とその信頼性が魅力になるはずです。SDLXやDéjà Vuなど、他の翻訳支援ツールを使用しているユーザーにとっても、予備的なプログラムとして重宝するはずです。45日間無料の体験版は、こちらからダウンロードできます。